オレンジの彼。
なんなのかわからないこの気持ち。
俺はしぃの部屋を出てすぐに自分の部屋に入った。
ベッドに横たわる。
ふぅ…。
ため息を吐いて一息着いたときだった。
「健吾ちゃ~ん♪」
「げっ‼母さん」
かなり酔った母さんがいきなり部屋に入ってきた。
「しぃちゃん奪られて拗ねてんじゃないよ‼」
「拗ねてねーし‼つか、何だよ?」
急に真面目な顔になる母さん。
「あんた、しぃちゃんに惚れてんでしょ」
「は?俺がしぃに?冗談辞めろよ」
「母さんの目は誤魔化せないよ!正直に言いなさい」
確かに、しぃは可愛い。
ちょっとツンとしたつり目。
くるんと長いまつ毛に小さな唇。
だけど、顔は全然キツくなくて猫みたいに可愛い奴だ。
「しぃは…妹みたいなもんだよ…」
俺の言葉をふんっと馬鹿にしたように母さんは鼻で笑った。
「健吾、あんた本当に馬鹿だね」
「は?」
嫌味にしか聞こえない母さんの声にイライラした。