オレンジの彼。

黙ったまま、鋭い目でじっと見てくる朔斗。

「さ…朔斗?どうしたの?」


なぜ彼が怒っているのか分からない。

どうして、そんな冷たい目線を向けるのかも。


「…」

黙ったまま、彼は何も言わない。


「朔斗?」

気迫に負けて2、3歩後ずさりをする。


「…お前っ」


やっと口を開いたかと思ったら、


「さっさと告ればいいじゃん」


いつもよりワントーン低い声で言った。


告る!?
そんなの…

「何、言ってんのよ。あたし、健ちゃんに嫌われてるのよ??そんなの…無理に決まってんじゃん…」

そんなことしたら、目も合わせてもらえなくなる。

そんなの…耐えられないよ…


「…へえ?」

朔斗は口元を上げて、笑った。


「健吾のこと、別にそこまで好きじゃないんだろう?だから、告白の1つもできないんだ。それとも、何?見てるだけでいいって言うのか?詩織は別に…健吾なんて好きじゃないんだ。」


鋭く冷たい目、冷たい声ではっきりと言った。

朔斗がとても怖かった。
いつものあの笑顔がない。


「…っがうっ…違う‼」

あたしは…

「あたしは…健ちゃんが好きなんだもん‼…っ小さい頃がずっと見て来たんだもん‼」

「詩織…」

あたしは、必死に叫んだ。




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