オレンジの彼。
「…っ詩織…‼」
俺が詩織を見つけたとき、詩織は健吾の胸の中にいた。
「…っ‼」
詩織は俺に気付いて、どこかに走っていった。
「…」
目の前で詩織と健吾が抱き合ってるのを見て胸が苦しくなった。
分かってたことだけど。
実際に見ると、キツイな…。
健吾はゆっくりと俺に近づいてくる。
辞めろ…
辞めてくれ…
今は、お前の顔を見たくない。
「おい、朔斗」
「辞めてくれ‼」
俺の言葉に健吾は何も言わなかった。
悪い、健吾。
でも、頼む。
これ以上俺を惨めにさせないでくれ。
詩織を傷付けて、
健吾…
お前まで傷付けてたくねえよ。
「朔斗‼」
いつも大声なんか出さない健吾が叫んだ。
「…」
俺はびっくりして声を出せないでいると、
「しぃと何か合ったのか?」
と、言った。