オレンジの彼。

「しぃちゃん!!」

先輩に呼ばれて慌てて朔斗から視線を逸らす。


「あっ、先輩。さっきはその、ありがとうございました!」


先輩に深く頭を下げていうと、先輩はにっこりと微笑みあたしの頭をポンポンと撫でた。


「もう、大丈夫そうで良かったよ。いつも通り、ね♪」

軽くウインクする先輩。

「…はい!」

「うん。良い返事だ。それじゃあ、マネージャーの仕事を教えるから覚えてね♪」


そう言って、器具庫に歩いて行った。
慌ててあたしも先輩の後を着いて行く。


「えっと、休憩時間とかにみんなにジュースとタオルを渡してあげて」


「…はい」


みんなにってことは朔斗と健ちゃんにもだよね?

ううん。
気にしない。

みんな普通に接するんだ。


「あと、汗で滑ったりするから、ボールを磨いたり、モップとかでコートを磨いて欲しいんだ。」


あっ!良かった。
ボールを磨くこと、役に立ってたんだ。


「分かりました!頑張ります!!」


「うん。良い返事だ。
1人じゃ大変だと思うけど、頑張ってね」


あたしの返事に少し驚いてから、いつもの笑顔に戻った。





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