オレンジの彼。
驚いた表情を見せてから彼は言った。
「ありがとう」
それはとても小さな声だった。
「ほらー!!休憩時間長いぞ!順番で休憩なんだから全員で休むなー!!」
先輩の鬼の声が聞こえる。
「ひえ~っ!早いッすよ、先輩!!」
部員達が萎えいでいる。
先輩、たらしのくせに。
部活では、厳しいんだ。
自分はサボってるくせに…。
じーっと先輩を呆れた目で見ていると、
「こらっ、見惚れてないで仕事しなさい!!」
と、叫ばれた。
「なあ!!!」
部員みんなに注目されて顔が赤くなる。
「誰も見惚れてません!!!」
と、強く否定する。
器具庫から、ボールを出して磨く。
2、3個を磨き終わると、また休憩メンバーが来た。
そしてさっきみたいに、1人1人笑顔で渡していく。
「はい、どうぞ!」
「ありがとう」
笑顔で部員みんなが返してくれるので嬉しくなる。