オレンジの彼。


廊下には朔斗が立っていた。

「…」

俺は無視して、横を通り過ぎようとした。


しかし、

「…なんだよ?」

腕を朔斗に捕まれた。


けど、すぐにぱっと手が離れた。



と思ったら、


「着いてこい」


と、低い声で言われた。


無言で歩く朔斗に着いて行く。





連れてこられた場所は体育館だった。



「おい!健吾!!!」


朔斗がいきなり俺にボールを勢い良く投げた。


「…って!危ねえだろ?」

ヒリヒリと手が痛む。



「健吾、俺と勝負しろ」

いつもとは違う、真剣な表情をしている朔斗。



「…勝負?」

「ああ、勝負だ」

俺は思わず笑ってしまった。


「…どーいうつもりだ?」






< 68 / 84 >

この作品をシェア

pagetop