オレンジの彼。
廊下には朔斗が立っていた。
「…」
俺は無視して、横を通り過ぎようとした。
しかし、
「…なんだよ?」
腕を朔斗に捕まれた。
けど、すぐにぱっと手が離れた。
と思ったら、
「着いてこい」
と、低い声で言われた。
無言で歩く朔斗に着いて行く。
連れてこられた場所は体育館だった。
「おい!健吾!!!」
朔斗がいきなり俺にボールを勢い良く投げた。
「…って!危ねえだろ?」
ヒリヒリと手が痛む。
「健吾、俺と勝負しろ」
いつもとは違う、真剣な表情をしている朔斗。
「…勝負?」
「ああ、勝負だ」
俺は思わず笑ってしまった。
「…どーいうつもりだ?」