オレンジの彼。
感の良い俺は、すぐに気づいた。
気づきたくないことまで…
気づいてしまった…。
「どーいうつもりもくそもねぇだろ?」
笑いながら言う朔斗。
ほらっやっぱり。
お前は…
「しぃか?」
好きなんだろ…ーーー
ふっと余裕そうな表情を浮かべて、笑っている朔斗。
「だったら、なに?」
なにってお前…
「朔斗…冗談はやめてくれ」
しぃは、モノじゃねぇし。
賭けるものじゃないだろ。
「冗談?」
ドリブルしながら、真剣な表情を浮かべている。
「冗談なわけねぇだろ?」
円を描くような綺麗なフォーム。
ボールはリングの中に吸い込まれるようにスパッと音を立てて入った。
「俺は、やらない」
やったって、しぃと付き合える訳じゃない。
俺の気持ちは…、
しぃには迷惑なんだよ。
あいつは、きっと…
朔斗が好きなんだ。