オレンジの彼。
「逃げるんだ?」
馬鹿にしたように笑っている。
「…逃げる?」
「ああ。健吾がそのつもりなら、詩織は俺が貰う」
「…はあ?なにいってんだよ。」
こんな勝負、無意味じゃないか?
結果はどうであれ、勝てばしぃを手に入れられるわけじゃない。
結局、選ぶのはしぃなんだ。
だからこの対決なんて意味ないじゃないか。
「じゃあ、健吾は詩織が他の男といても平気なのかよ!?」
そんなのっ…
「平気な訳…ねえだろ…」
耐えられる自信ねえな。
「だったら、勝負だ‼」
「…」
「勝ったほうが詩織に告る。詩織がなんて答えるか知らねえけどな」
そうだ。
何もしないで、側にいて欲しいなんて虫が良すぎる。
「分かった、勝負しよう」
俺はボールを強く握った。