オレンジの彼。
★交差する想い
詩織☆said〜
やっと分かった。
何であたしにとって朔斗が大事な人なのか。
好きだからだ。
優しい朔斗にいつの間にか惹かれていたんだ。
ねえ、朔斗。
朔斗が頑張ってたのあたし知ってたよ?
だから、そんな悲しい顔しないで?
朔斗は口は悪くてチビだけど、本当はすごく優しい人なんだよね。
だからもう、そんな悲しい顔しないでよ。
泣きそうに成りながら朔斗を見つめていると、
「詩織…、」
あたしの視線に気付いて気まずそうにこっちをみている。
「さっき、ごめんな。本当にごめん。」
あたしは大きく首を横に振った。
目からは大量の涙が流れる。
「詩織、約束叶えてやる。詩織の願いちゃんと叶えてやる。」
耳元で呟かれた。
声が小さくてよく聞こえ無かったけどあたしは大きく頷いた。
「あ、あとレモンの砂糖漬けありがとな。めっちゃ美味かった♪」
八重歯を見せて笑う朔斗。
あたしが一番見たかった笑顔。
何でそんなに簡単にあたしの心を奪うのよ。
ずるいよ…