空からの奇跡

「はーい、みんな片づけてねー」

絵も描き終わり、絵の具を片づけようと美術室内の水道場を見渡しても人でいっぱい。
瑠菜は廊下の水道へと足を運んだ。


誰もいない廊下は静かだった。


「ふっじっかわ~☆描けた?」

「おぉ祐ちゃんっ!描けたよー☆瑠菜、絵の才能だけはあるからさっ」

自慢気に言ってみた。

けれど

いつもみたいに笑う祐ちゃんはいなかった。

「?祐ちゃ...「俺さ、」」

瑠菜の言葉に重なって祐ちゃんも話しだした。


「思ったんだけど。俺がいたら、藤川の恋とか進まない気がする」

「どーいうこと...?」

「好きな女に仲良い男がいたらさ、誰でも嫌じゃん?」

「言ってる意味がよくわからないのですが...」

「藤川、俺と仲良くすんな。お前は好きな奴だけ見てなさい☆」

ニコッと笑った祐ちゃんはそのまま美術室に戻っていった。

廊下に響きわたる水の音。



こんなに悲しいのは何で?



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