先生とわたし
手慣れた、年上ならではのからかいを受けて腹が立ったりするものの、
ただどうしようもなくそれから抜け出せないでいる自分にため息が出た。
「じゃあな、柏。また後で。アイラビュー」
そう言い、手をヒラッと柏に振り男は理科準備室から出て行った。
軽く、ごく軽くそう言われただけでも熱くなる頬。
そして、加速する心音。
柏が2度目のため息を付いた時、廊下から賑やかな声が響いた。
「あれー藤谷先生ぇ。
こんなとこで何してるのー?」
「ばか、理科教師が理科準備室付近に居て何がおかしい。
それより、体育なら早く行けー」
最後の言葉はなんとなく、少し大きく聞こえた。
確かに、いつまでもぼやぼやしてはいられないと思った柏は、
熱くなった頬もそのままにキョロキョロしながら、理科準備室から出た。
─キスマーク End.