インプラント
二人はやがて歓楽街へと入っていく。
雑多な街の中ひと際目に着くのが
スプレーで書かれた落書き。


それこそ隙間のないくらい書きなぐられた
意味不明な落書きが街を埋め尽くしている。


アラブ語なのか、ロシア語なのか
男には全く判別がつかない文字で書かれた落書きは


街の人の努力もむなしく
ウイルスの如くこの街に憑りついているようだ。


男がふと沙希を見ると、
彼女は何故かかすかにふるえている。


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