インプラント
だがショップはセールをしているのに

この街に男は一人だけ。




広い街の真ん中に男はひとり立ち尽くしている。

人がいない店に入っていく男。




「どこにいるんだ?」




店の奥にむかって声を張り上げる男。




「沙希はどこにいるんだ?」




店に入った男の足がまるで沼に踏み混んだように

ずぶずぶと沈んでいく。




黒い床は男の足に絡みつき

なかなか歩を進めることが出来ない。

< 33 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop