インプラント
「お願いだ!姿を現してくれ!
自分の心をのぞいてこれほどまでに君が大事な存在だったと


今更ながらに気がついたんだ。
俺の体も心も総て君に捧げてもいい。


だから出てきてくれ。お願いだ…」


姿の見えない沙希に向かって叫ぶ男。


「ふふ…あなたは薬を二粒飲んだわね。
でも覚えてる?


薬はもう一粒あるということを。


最後の一粒を飲んだら
今度はどんな世界が見えるんでしょうね?」


沙希の言葉はそう言ったきり聞こえなくなってしまった。


人の憎しみをすべて背負い
そして今男は自分の真の生きる目的を悟った。


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