インプラント
悟り
「何ボーっとしてんの?早く行こうよ」



沙希はそう言って男に微笑みかけている。




「映画3時から始まっちゃうから急がなきゃ。

いこ!」




男はあたりを見回す。




たくさんの人でごった返す繁華街は

いつもと変わらず喧騒に包まれている。




空も紫ではなく抜けるような青空。

シャッターの落書きも動き出しもせず

その陰鬱な姿を街に晒している。

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