半熟cherryⅡ

正門に向かって歩きながら彼女にメール。





“友達と遊んで帰るから先、帰ってて”





そうメールを送信しようとしたトキ。




「郁くん」

『え?』





呼ばれた名前に顔を上げると。

正門の脇に彼女が立っていた。





『…なにしてんの?』

「話があるから待ってた」





いやいや。

話があるからって“コレ”はなしだろ。

すれ違ったらどーすんだって。





『話って?』

「ちょっと来て」

『は?』





腕を引っ張られ。

連れてこられたのは正門から少し離れた裏道。

人なんてほとんど通らない。





『なに?いきなり』





こんな人気のないトコロで。

一体何をしようってんだ…。





彼女の意図が読めないまま。

ため息を吐こうとしたそのトキ。





バチンッ!!!!!





俺の左の頬に。

乾いた音と鈍い痛みが走った。



 

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