半熟cherryⅡ
俺の言葉に。
“えっ?!”と目を見開いて。
俺を見上げる茜。
『“生徒”の前に“オトコ”なんだって。
前にも言ったデショ?』
無言の空間に。
エレベーターが上がっていく重力がかかる。
『俺だって茜の前では“生徒”じゃなくて。
ただの“オトコ”だよ』
肩に落ちている茜の髪を一束手に取ると。
ゆっくり唇を寄せた。
俺の行動に。
茜の体が“ビクッ”っと震える。
そして。
ほんのり頬を染め。
困ったような顔をして俺から視線を逸らした。
『…こっち向いてよ』
「…ヤダ」
『なんで?』
「……恥ずかしい……」
茜のその言葉と仕草は。
俺を誘ってるようにしか感じなくて。
『…茜』
俺は。
小さく名前を呟くと。
茜の唇に自身の唇を寄せた。
その時。
まるでコントかドラマの“お約束”かのように。
エレベーターの扉が開いた。