半熟cherryⅡ
コイツ、大学のセンパイだって言ってたよな…。
“ただのセンパイ”がなんでココへ…?
そう思いながらも杉原の手を見ると。
『…鍵?』
指先で摘んでるモノは。
杉原には似合わない。
可愛らしい熊のキーホルダーのついた鍵。
それを人差し指に引っ掛けてクルクルと回しながら言った。
「開けてくれないみたいだから勝手に入るよ」
そう言うが早いか。
モニターからと玄関からと。
両方から“ガチャガチャ”と音がし始めた。
…合鍵?!
なんでコイツ合鍵まで持ってんだよ!!
「…ちょっ…ヒロキ!!」
茜の驚いた声がリビングに響いた。
そしてそのままインターホンを切ると。
「…何があっても出てきちゃダメだよ?」
そう俺に言って。
玄関に向かって走っていった。