半熟cherryⅡ
今、この状況で俺が出ていけばどうなるか。
容易に予想はできる。
でも。
あいにく俺は。
茜が傷つくの黙って見てられるほど。
“オトナ”じゃないんでね。
“パンッ”と両頬を叩き、気合いを入れると。
玄関へ続く廊下へ一歩踏み出した。
「鍵返して!!」
「いいから開けなよ」
玄関では。
ほんの数センチの隙間ごしに話が続いていた。
『…うるさい…近所迷惑デスって…』
茜の後ろに立って。
ドアの隙間から向こう側を見る。
すると。
ドアの向こうにいる杉原と目が合った。
「お前…ッ!!逢沢?!」
「郁?!」
“何でお前がいるんだ?!”って顔の杉原と。
“何で来たの?!”って顔の茜が。
揃ってこっちを向く。
『茜、チェーン外してやんな。
…声、めっちゃ響いてマスよ?杉原センセー』