半熟cherryⅡ

『とりあえず、鍵返して。
…仕事辞めたくないデショ?』





リビングに戻るなり。

後ろについてきた杉原に左手を突き出した。





「これは俺の鍵だ」



“俺の”じゃなくて。

勝手に合鍵作ったんだろーが。





『…あっそ。ならいいデス。
…茜、ケーサツに電話して』





杉原の後ろを歩いてリビングに入ってきた茜に。

ケータイをポン、と投げた。





「はッ?!お前、何言って…」





さっき茜が“警察呼ぶ”って言ったトキは。

全然話し聞いてなかったのに。

今度はなに焦ってんの?





…自分がやったコト、デショ…?





『この部屋の鍵持ってるし。
玄関で“帰れ”って言ったの、俺ら以外の誰かしらが聞いてる。
声、デカかったしね。
それなのにアンタは部屋の中にいる。
さてなぜでしょう?
…状況からいって。
コレって立派な不法侵入、デスよね?』





 

< 159 / 280 >

この作品をシェア

pagetop