半熟cherryⅡ

言うだけ言うと。

俺はソファーに“ドカッ”と身を沈めた。





「それはお前が…っ」





杉原が言おうとした言葉を遮って。

俺が言葉を発する。





『俺がなんデスか?
俺は“チェーン外してやんな”って言っただけ。
あがっていいなんて言ってナイですよ』





杉原の顔が引きつったのがわかった。





『警察では厳重注意で終わるにしても。
合鍵勝手に作って不法侵入なんて。
…公務員ってどうなるんでしょうね?』





……………………。





しばらくの沈黙の後。





“チャリン”





足元に金属音が響いた。



足元をみると。

さっきモニターで見た熊のキーホルダーがついた鍵が転がっていた。





『…他に合鍵は?』

「…ない」





杉原の言葉を聞いて。

足元に投げられた鍵を拾った。





そして。





『…管理会社連絡して鍵、取り替えてもらって』





そう言って。

茜に鍵を手渡した。



 

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