半熟cherryⅡ
杉原の来る前と帰った後の空気とは。
…雲泥の差。
ピリピリ張り詰めてる。
あの甘い空気は何処へ…。
ちょっと凹みながらも。
頭ン中は別のコトを考えてた。
…とりあえず。
鍵、取り替え終わるまで実家にいたほうが安全だよな。
またいつアイツが来るかもしれないし。
しかし、杉原のヤツ。
帰る間際に茜の頭、触っていきやがった。
茜は俺のだ!!
勝手に触ってんじゃねぇよ!!
頭ン中はさっきまでの出来事がグルグル回っていた。
「…郁」
ソファーに座り込んだ俺の頭の上から。
茜の声が聞こえた。
でもその声のトーンは。
普段の声とはまるで違っていて。
「…郁」
低く。
ちょっと恐怖さえ感じてしまうような。
『…なに…?』
見上げると。
ニッコリ微笑みながらも何か思ってる。
そんな“真っ黒い”笑みを浮かべていた。