半熟cherryⅡ
「…なんで出てきたの?」
『は?』
「…何があっても出てきちゃダメだって。
私、言ったよね?」
…いや、確かにそう言ってましたケド。
あの状況で出ていかないって。
おかしくない?
“俺”がいるのに“他の男”が合鍵なんて持ってんだよ?
『俺は間違ったコトしてねぇよ』
俺がそう言ったとたん。
茜の顔から微笑みが消えた。
「出てくるなって言ったのに出てきたのは間違ってナイ?」
『…状況考えろっつーの。
自分の彼女がイヤがるコトされてんのわかってて。
黙って見てる男なんていねぇよ』
なにキレてんだよ。
キレる相手が違うんじゃねぇの?
なんで俺がキレられなきゃなんないワケ?
それともなにか。
まだアイツのコトが好きでジャマされたくなかったのか。
考えれば考えるほど増してくるイライラを落ち着かせるために。
深く深呼吸をした。