半熟cherryⅡ

そのため息のせいなのか。



茜の顔は。

“微笑み”から“鬼の形相”へと変化した。





「来たのが杉原先生だって、モニター見てわかってたよね?!
それなのになんで出てくるの?!」

『相手が杉原だろうが誰だろうがカンケーねぇだろ?
俺はお前が…』





“俺はお前がイヤな思いしてんの黙って見てらんねぇんだよ”





そう紡ごうとした言葉は。

無常にも茜のキレた声にかき消された。





「フツーに考えれば間違ってない!!
でも相手は杉原先生なんだよ?!
私の家に郁がいたらどう思うかわかる?!」

『…俺はどう思われたっていい』

「よくない!!」





また茜の声が響いた。



そして。

次に口にした言葉は。

俺が茜の気持ちを聞くまでに。

何度も聞かされていた言葉だった。



 

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