半熟cherryⅡ





「私と郁は“先生と生徒”なんだよ?!
“先生”の家に“生徒”がいたらおかしいでしょ?!」





“先生”と“生徒”





『……んだよ、それ……』





そんなのわかってる。

わかってて一緒にいるんじゃねぇのかよ。





俺、言ったよな。



夏休み終わりのベランダ。

煽られて止められそうになかったキスの後。





“俺は生徒、貴女は教師。
今度はそれを承知で俺の腕の中にいるんデショ?”





何度も“生徒”って線引きされて。

それでも手に入れたかった。



やっとその線をとっぱらって。

“俺”を見てくれたのに。

“俺”を好きだと言ってくれたはずなのに。





『…またかよ…』





俺の中で茜は“彼女”だったけど。

茜の中で俺は“生徒”のままだったのか…?



 

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