半熟cherryⅡ
「…ひとりの“男の人”として郁が好き」
落ち着いてきたのか。
茜がゆっくり言葉を紡ぐ。
いきなりの告白に少し面食らったけど。
その言葉に少しだけ。
苛立ちが治まった気がした。
でもそれは気のせいで。
すぐに。
苛立ちは戻ってきた。
「でも“生徒”なの。
イトコだけど生徒の涼真と同じ“生徒”なの」
「このコトを杉原先生が学校に報告すれば私だけじゃない。
郁だってタダじゃすまなくなる」
…だから、なんだよ。
なんだっつーんだよ。
ありきたりな言葉かもしれないケド。
俺は“先生”を好きになったんじゃない。
“友藤 茜”っていう人を好きになったんだ。
…それに。
“タダじゃすまない”ってなに?
今のあったコトを言って。
タダじゃすまないのは杉原も同じだろ?