半熟cherryⅡ
「しっかし、黙って作ったスペア隠し持ってるなんて…。
根性曲がってんな、アイツ。
フツー別れたトキに返すんじゃねぇの?」
涼真は呆れたようにため息を吐いた。
『…しかも鍵返してもらったから帰れっつったら“覚悟しとけ”だってさ』
自分なんか犯罪まがいのコトしてんのに何言ってんだよ。
覚悟しとけはこっちのセリフだっつーの。
俺も涼真につられてため息を吐いた。
そんな俺を見て涼真は。
目を見開いた。
「…郁チャン…」
『なんだよ、気持ち悪ぃな』
「お前、杉原の前に出てったの?」
『茜の嫌がるコトされてんのに黙ってられるワケないデショ?』
「……………………」
涼真は俺の言葉を聞くと。
“…ハァァァァァァァ”
呆れたようにデカく深いため息を吐いた。
それはまさに。
腹の底から出たため息だった。