半熟cherryⅡ
『…なんだよ、そのため息は』
「いくら茜のためだからって…。
生徒が先生ンちにいたら誰だっておかしいと思うだろ?」
涼真は茜と同じコトを言う。
『…それ、茜にも言われた』
「だろうな」
『だからそんなに“先生”だ“生徒”だって言うなら。
“生徒”になってやるって茜に言った』
俺のその言葉に。
涼真はまたデカいため息を吐いた。
「…んなコト言ってんじゃねぇだろーが」
『…わかってるよ』
わかってる。
売り言葉に買い言葉みたいなモンだ。
“ただの生徒”に戻るつもりなんてサラサラない。
でも。
それぞれの自宅に出入りするのがおかしいなら。
そこはしばらく“生徒らしく”してようと思ってる。
「…ったく、島崎のトキといい今回といい…。
茜のコトになると余裕ないのな、お前」
朝から何度聞いただろうため息。
今度はそのため息も苦笑混じりに聞こえた。