半熟cherryⅡ
「…心当たりがあるなら話して。
手に負えなくなってからじゃ遅いから」
怒っているような、心配しているような。
そんな一美センセイの言葉は。
俺の耳を通り抜ける。
杉原のヤロウ…。
わざわざ一美センセイにわかるように連れ出しやがって。
ココは学校。
俺が動けないと思ってナメたマネしてくれるじゃねぇの。
杉原にバカにされてるからか。
学校で呼び出されるコトくらいわかってたはずなのに。
先回りできなかった自分に呆れてか。
…笑いが込み上げてくる。
『…一美センセイ』
「なに?」
『茜、どこに連れていかれました?』
「…指導室って言ってたはずだけど…」
…指導室、ね。
俺はフェンスに寄りかかっていた体を起こし、立ち上がった。
「郁?」
隣に寝そべっていた涼真が怪訝そうな顔を見せた。
俺は。
“パンパン”とズボンの裾をはらった。
そして。
涼真の顔を見た。
『…売られたケンカだ。買ってやる』