半熟cherryⅡ
茜からのメールは。
俺のニヤけた顔をひっぱたくような内容だった。
…な、んだよ…、コレ…。
意味わかんねぇ…。
…いや、わからないワケないんだ。
メールはシンプルにわかりやすく。
ひらがな6文字が並んでいるだけだった。
“わからない”んじゃなくて。
“わかりたくない”んだ。
目は画面に映された文字を追う。
頭はそれを理解するのを拒む。
ケータイを持つ手が震えた。
教科書片手に教壇から張り上げられる声より。
自分の心臓の音のほうが大きく聞こえる。
『…先生…』
「逢沢、どうした?」
やっと絞りだした声に。
教科書から顔を上げた先生が俺の方を向いた。
『…気分が悪いんで、保健室行ってきます…』
「顔色悪いな。…行って休んでこい」
…茜。
このメールの真意。
答えてもらうからな。
俺はゆっくりと席を立ち。
教室を出た。
[もうやめたい]