半熟cherryⅡ

でも。

先に口を開いたのは一美センセイだった。





「…相談中のプレート出しとくから。
話、しなさいよ」





そう言って。

一美センセイが立ち上がった。





「一美?!」

「…逢沢クン、茜が杉原先生に連れていかれたの知ってるから。
隠さないでちゃんと話しナサイ」





ため息にも似た一息を吐きながら。

パソコンをシャットダウンさせた。





“何かあったらケータイに連絡して”





そう言って数字を列ねた紙を机に置いて。

一美センセイは保健室を出ていった。






『…ちゃんと話しなよ』





一美センセイのいなくなった保健室は。

動いたら壊れてしまいそうな空気が流れてる。





『いきなり“もうやめたい”なんてメールもらっても意味わかんねぇし』





そんなピリピリした空気は。

俺がイライラして作り出してるのか。

茜が自己防衛のために張り巡らせているのか。

それはわからない。







『…ひとりで抱えてんなよ…』



 

< 196 / 280 >

この作品をシェア

pagetop