半熟cherryⅡ
でも。
先に口を開いたのは一美センセイだった。
「…相談中のプレート出しとくから。
話、しなさいよ」
そう言って。
一美センセイが立ち上がった。
「一美?!」
「…逢沢クン、茜が杉原先生に連れていかれたの知ってるから。
隠さないでちゃんと話しナサイ」
ため息にも似た一息を吐きながら。
パソコンをシャットダウンさせた。
“何かあったらケータイに連絡して”
そう言って数字を列ねた紙を机に置いて。
一美センセイは保健室を出ていった。
『…ちゃんと話しなよ』
一美センセイのいなくなった保健室は。
動いたら壊れてしまいそうな空気が流れてる。
『いきなり“もうやめたい”なんてメールもらっても意味わかんねぇし』
そんなピリピリした空気は。
俺がイライラして作り出してるのか。
茜が自己防衛のために張り巡らせているのか。
それはわからない。
『…ひとりで抱えてんなよ…』