半熟cherryⅡ
ほんの少しの沈黙なのに。
空気が重くのしかかってくる。
その沈黙を破るように。
茜が言葉を発した。
「…生徒の逢沢クンにはカンケーないから」
小さな声でそう呟いた後。
茜はまたパソコンに顔を向けた。
“カンケーないから”
…なんなんだよ。
カンケーないって。
なんなんだよ…。
俺は拳を“ギュッ”と握った。
『…カンケーないって…なに?』
言葉にするのもイヤになる。
絞りだすように茜に問い掛けた。
「言葉そのまんま、よ。
生徒にはカンケーないコトだもん」
茜のその口調。
うっすら苦笑を浮かべた顔。
…“生徒”って線引きされてたトキと同じ…。
またそこに戻るのかよ…。
『カンケーねぇならあんなメールしてこねぇだろーが!!』
今までの張り詰めた空気を蹴破るような。
俺の怒鳴り声が響いた。