半熟cherryⅡ
「……………………」
『……………………』
茜と一美センセイは。
何も聞かずに俺と涼真の切れた唇の手当てをしてくれている。
…いや。
聞かないんじゃなくて聞けないんだろう。
だって。
あの2人が入ってきた瞬間。
驚いた涼真は足を滑らせ俺の上に落ちてきた。
顔と顔が近づいてたワケだから。
当然のように唇が触れた。
しかも勢い任せだったから歯があたって切れた。
…涼真がコケるとは。
誤算だった…。
そんな重苦しく、気まずい空気に触れたのは、一美センセイだった。
「…桜井クン…いくらなんでも“ココ”はマズいって。
せめて茜がわからないところでやりなさいよ…」
「誤解だぁッ!!」
「誤解もなにもキス…」
「してねぇっての!!」
…ハァ…。
ため息を吐いた俺に。
「杉原のコトも含めて説明しやがれ!!」
真っ赤な顔して涼真が怒った。