半熟cherryⅡ

「……………………」

『……………………』





茜と一美センセイは。

何も聞かずに俺と涼真の切れた唇の手当てをしてくれている。





…いや。

聞かないんじゃなくて聞けないんだろう。





だって。

あの2人が入ってきた瞬間。



驚いた涼真は足を滑らせ俺の上に落ちてきた。



顔と顔が近づいてたワケだから。

当然のように唇が触れた。

しかも勢い任せだったから歯があたって切れた。





…涼真がコケるとは。

誤算だった…。





そんな重苦しく、気まずい空気に触れたのは、一美センセイだった。





「…桜井クン…いくらなんでも“ココ”はマズいって。
せめて茜がわからないところでやりなさいよ…」

「誤解だぁッ!!」

「誤解もなにもキス…」

「してねぇっての!!」





…ハァ…。






ため息を吐いた俺に。



「杉原のコトも含めて説明しやがれ!!」



真っ赤な顔して涼真が怒った。



 

< 232 / 280 >

この作品をシェア

pagetop