半熟cherryⅡ

『…ん〜ッ…』



静かになった保健室。

今ならうるさいの(涼真)もいないし。

……ゆっくりできそうだ……。



部屋の一番奥にあるベッドに寝転んだ。





“逢沢 郁の本命?!”



…コレ、どういう意味なんだ?



俺の本命はもちろん“茜”。

他に誰がいるっつーんだ。

…だとしたら。

舞浜に、もう掴まれたってコトか?



いや、ありえない。

俺と茜はメールすらろくにしてない。

教官室に行っても他のセンセイいるし。

“センセイと生徒”の会話すらほとんどナイ。



………なんか。

考えたら虚しくなってきた。





『……かなり“茜不足”……』





体中の二酸化炭素を吐き出すような。

大きなため息を吐いた。





「……なに?“茜不足”って」





………え………?





誰もいないはずの保健室に。

俺以外の声が響いた。



 

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