半熟cherryⅡ
「…んじゃ、俺らも帰りますかね」
『…だな』
“グーン”と大きな伸びをひとつすると。
涼真と俺は正門に向かって歩きだした。
「…お〜い」
遠くから微かに声と足音が聞こえた。
……ま、俺らにはカンケーないか。
声には気付かないフリをして歩を進める。
「…逢沢クンと桜井クン、待って…ッ…」
………え?
呼ばれた名前に驚いて振り向くと。
そこには。
走ってきたのか息を切らせた茜がいた。
「2人とも歩くの早いよ〜ッ」
『「…足長いモンで」』
「…なんでそこでハモるかな…」
…茜の呆れた顔はさておき。
『どした?まだなんかあった?』
片付けも一応してきたし。
残ってるモノはナイはず。
…忘れ物でもしたっけ?
“?”顔の俺と涼真の目の前で。
茜は“フゥ”とひとつ、息を吐くと。
顔を上げて言った。
「送っていくから、車乗って」