アイドル様と☆甘きゅんラブ【完】
それなのに……。


「そうか……。
陽太が美桜ちゃんを呼んでくれたのか」


少しほっとしたような声を出し、瑞貴サマはあたしの頭をポフポフっと優しく撫でた。


「ごめんね。
気がつかなくて。
僕はこんなにも……。
美桜ちゃんに寂しい思いをさせていたんだね」


「え、あ……」


まさか、瑞貴サマ。


あたしの嘘を信じちゃったの!?


チラッと顔を上げると、そこに瑞貴サマの細くて長い指が降ってきた。


「この涙は、僕にだけ見せてほしかったな」

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