♂ vs ♀ ~男女寮戦争~《完》【続編完結】
「これ、どこ持ってくの?」

二つのダンボールを持ち上げても余裕の彩木くん。

「原口先生が、進路指導室に置いていいって」

進路指導室という名前だけど、ただの空き部屋だ。

普通の教室と全く同じだし。



「了解!」

彩木くんは笑顔で振り返る。

あたしが先頭歩けばいいんだけど、荷物のせいか足が重い…



「牧村さん、えらいね。こんなの男子に頼めばいいじゃん」

「頼めそうな人いないし…」

同じく学級委員のあいつを思い浮かべる。

頼めばやってくれそうだけど…

やっぱ無理だよな。



「俺でよかったら、いつでも手伝うよ」

彩木くんが天使に見えてきた。

いままで優しくしてくれる男子なんかいなかったし。

なんか新鮮だ…



「ありがと…」

彩木くんが歩くペースを落としてくれたんだろうか。

やっと彼の隣に並んだ。
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