♂ vs ♀ ~男女寮戦争~《完》【続編完結】
「瀬戸内くんって、走るの速いんだね」

「うん…」

自分の膝の上に両手でほおづえをつく萌。

彼女の視線は、準備運動をする瀬戸内を追いかける。

萌につられて、あたしも瀬戸内を見ていた。



「瀬戸内くんって、何でもできるんだ」

「うん…」

この距離なら、あいつを見ていても気づかれないだろう。

遠くへ視線を向けたまま、相づちを打つあたし。



「美月ってさ、本当に瀬戸内くんのこと何とも想ってないの…?」

「はいっ…?」

ノリと勢いで、適当にうなずきそうになったあたし。

慌てて萌のほうに振り返った。
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