♂ vs ♀ ~男女寮戦争~《完》【続編完結】
「…じゃあ、誰のためにあるの?」

左手で頬を押さえた彩木が、あたしを見上げる。

痛みに顔をゆがめていても、まだ余裕の態度を崩さない。



「それは…」

彩木をにらみ返して、唇をかみしめる。



「俺は…わかってるよ」

あたし、まだ何も言ってない。

彩木は、特定の人物を思い浮かべているようだ。

そして、あたしの心にも同じ人物の顔が浮かぶ。



「どうして、わかるの…?」

そうつぶやいて、あたしは右手をギュッと握りしめた。
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