レッテル
すこし傾いた理科室のプレートが見えた。
ほんとうにこいつ(高瀬)ついてきやがった・・・。
高瀬は、私の後ろでぼーっとつったっている。
「は、はいるよ?」
「なんで確認してんだよ、わけわかんねぇ」
高瀬は先ほどのボーっとした顔から一転、獲物を狂ってもとめる獣の顔になった。
「すんません!」と、図太い声で言ったあと、私は理科室のドアに手をかけた。
しかし、あかなかった。
何回ドアを引いてもあかなかった。
「あ、あれ・・・おかしいな・・・」
すると、高瀬が「どうした」とやってきた。
「ドアがあかなくって・・・」
「はぁ?なんでだよ」
「わ、わかんないんですってば!たしか最後にこの部屋から出たのは私だし・・・。私が出た後に誰かがカギを閉めたってことしか・・・。」
気がつくと、高瀬の顔が私の肩のあたりにあった。
ここで騒げば殺されるな・・・。
私がガクガクふるえていると高瀬が、
「カギ職員室にもねーの?」
「たしか、中に置いたまんまで・・・。見に行ってきましょうか?カギ」
「え、あ、おう。」
高瀬の目が少し揺らいだ。
「じゃあ見に行ってくるんで、待っててくださいね」
私がそういうと、高瀬は「ん」とだけ返事してそっぽをむいた。
卯月はごみ箱をもったまんま階段を下りて行った。
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