三日月ロマンチカ 【短編】
あれは……三日月…?
「―――ちゃん―――ろう―――た、―――
―――――たろうちゃんっ!!!!!!!!!」
パンッ!!!
頬に鋭い衝撃が走った。
「いっ…いってぇええええ!!!ちょ、おま、なにすっ」
もみじ型の痕がつくかと思うほどの威力がある攻撃。
反射的にガバッと飛び起きて、おれに暴力を振るった相手を睨み付ける。
それと同時に、自慢のパンチを顔面に向かって繰り出した。
喰らいやがれ!!!!
おれ様スペシャルスーパーハイパーグレート…
「無事だったんだね、たろうちゃんっ!!!!!」
ぎゅううううううっ!!!!!
「ぅぐおえっ!」
な、なんだなんだなんだなんだ!?!?!?
おれ様のパンチがこんなハグに押し負けた!?
ぎゅうぎゅうと力強く抱きしめられて身動きが取れない。
どうにか首を回し相手の姿を確認すると、
「っておい!!!!またお前かよ、維奈!!!!!!どんだけおれのプライドへし折る気だお前!!!!」
……………は?
ゆっ、…維奈……?