恋のベクトル。
君の声。
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「野崎!」
――むむ、この声は…
「なんでお前そんなに
すばしっこいんだよ!?
信じらんねぇ!」
高梨だ。
「だってクラスマッチの後片付け
面倒だし。疲れたし」
…と言う訳で屋上で休憩中
だったのである。
「いいから働け怠け者」
そう言うなりアタシの体育着
の襟元を引っ張って歩き出す。
「嫌だー!セクハラで訴えるぞ!」
「何がクラスマッチの片付けサボった奴
を連れ戻しに来てセクハラだ!」
ふざけんな!とアタシの頭を
ペチンと軽く叩いてから高梨
はまた歩き出した。