恋のベクトル。
お馬鹿な頭をフル活用して
考えていたら上から声が
降ってきた。
「お前はクラスのテント片付け
手伝いな」
「げっ!よりによって面倒な
仕事を!!」
「サボった分働け。自業自得だ。」
「うぇー」
なんでそんな力仕事を…
と思いつつグランドへ戻ると――
「あ、やっぱ梓いたかー」
花乃だ。
「木村あとコイツ宜しく」
そう言ってアタシの襟元の
主導権を花乃にバトンタッチ
して、高梨は何処かへと
行ってしまった。
「梓お帰りー。さ、テント片付けよ!」
「何でアタシの居場所が分かったの」
絶対花乃が高梨に言ったに
違いない。間違いない。