恋のベクトル。
「見事なまぬけ面だね」
「…お前がやったんだろ」
――その時だ。
「はぁーい!そこまでよ!!」
スッパァン!と保健室のドアが
壊れるのではないかと思う
位の勢いで開いた。
「あれ、花乃も何かしたの?」
「いやいや、ただの様子見に」
はて、様子見とは何の事なのか。
「お前何しに来たんだよ」
「あら高梨君そのシップは?」
確信犯だ。花乃め面白がって
わざと聞いていやがる。
「コイツからやられた」
そう言って高梨は顎でアタシ
の方をさした。
「高梨から何やられたのよ?」
「なな何もされてない!
抱き寄せられただけで!!」
「お前なぁ……!」
あ、しまった。
そう思った時には時既に
おそし。という所だろうか。