恋のベクトル。
「そんなに湿布使ってねぇよ!」
「えー使ったってー」
だって数日は高梨が頬に
湿布貼っていたのを見ていたし。
「…お前なぁ…」
「…何?いらない?」
「あー貰っとく貰っとく!野崎が
買ってきてくれた奴だし」
そう言って高梨はアタシの手から
湿布箱を取り上げた。
「高梨、ありがとね」
「どうした野崎。何か変な
物食ったか」
「…そうかもしんない」
高梨から苗字呼ばれるだけで
緊張するなんて、どうしたアタシ。
「正露丸飲んでおけ」
「…あのねぇ…!!!」
けど今は、この距離が良いの。
-君の声-