A Time Limit




「―3年E組代表、
横澤 杏里」



「はい」





名前を呼ばれて壇上に上がる。





クラス全員分の卒業証書を受け取るとき、校長先生に小声で「おめでとう」って言われた。




それがなんだか嬉しくて、笑顔のままステージから降りることができた。




それから少し離れたところに座っている真子と目を合わせた。






そうこうしているうちに卒業式は終わりを迎えようとしていた。





「卒業生、退場」




拍手の中、A組から順に体育館を出て行く。



どの先生も目に涙を溜めて、泣くのを堪えているようだった。




「E組が退場します」




「「「「―先生?!」」」」




だけど私たちの担任だけは違った。





「俺は泣いてねーよ!!」



あらら。




どこまで強気なのかしら、この教師は。





でも先生のおかげで、みんなしんみりと悲しい気持ちだったのに自然と笑顔に戻れた。




人間はどこかで役に立つもんなんだなって思っちゃったって言ったら怒るかな?







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