A Time Limit
人生初のお姫様だっこは、見知らぬ赤の他人でした。
なんて私、悲しすぎるよ。
私にだって理想があったんだよ?
初めてのお姫様だっこは好きな人がいいって。
それでその人と付き合ってるなら嬉しいけど、付き合ってないならもう超ドキドキだよぉ。
…って、今はそれどころじゃないし!!!
私は真正面から“その人”を見据えた。
「どうも~」
にこってして、そう言われた。
きっと私は怪訝そうな、胡散臭いなって顔してたんだと思う。
だから、
「そーんな難しい顔しないの!
もとは可愛いんだからさ♪
笑顔笑顔♪♪」
「…えと、助けてくれてありがとう。
でも、あなた…誰?」
やっとの思いで言った。
なのに、
「俺?
俺は君だけの王子だよ」
『…っ…顔近いッ…』
木の端まで追いやられてしまい、顔と顔の距離が近い。
というか、お互いの目の距離?
とまぁそんなこんなで少し、ドキドキしてた。
―ドカッ
「いーってぇ……」
間一髪、私は“変態”のお腹にパンチした。