A Time Limit
―ドキッ…
千里くんが笑ってくれると、ドキドキしてる自分がいる。
『変なの』
そして日も暮れてきた17:23
私たちは駅に向かって並んで歩いていた。
「今日はありがとう。
千里くんのおかげで楽しく観光できた」
私は素直に感想を言った。
なのに千里くんはいきなり笑い出した。
「あっははははは!
俺一応杏里ちゃんのことはナンパしたんだけど。
ナンパ相手にお礼言うとか杏里ちゃん面白すぎ!!」
「…っ…そっか…
私、ナンパされてたんだっけ。あははっ」
自分でも思い出して笑ってしまった。
『このまま時間が止まっちゃえばいいのにな…』
そう思ったとき、千里くんは駅と反対の方向へと歩き出した。
「千里くん……?
駅はあっちだよ?」
「帰る時間、もう少し遅くしてもいいかな?
もう少しだけでいいから…わがままだけど俺、まだ杏里ちゃんと話したいんだ。」
え…?
私の気持ち、通じたのかな?
千里くんの後について歩いていくと、着いた先は小樽港。
「せっかく杏里ちゃんと小樽の街にいるのに、まだ一緒に海を見てないなって思い出したんだ。
俺、ここの海が好きなんだ」
「私も……私も好きだよ」
「えっ……?」
「ここの海……」