A Time Limit




歩き着いた先は、よく通っていた“Cafe Otaru”。








このカフェのものはなんでもおいしいが、俺は特にココアが好きだった。









店の中と外に椅子とテーブルがあるお店はちょっとおしゃれな感じで、初デートには持ってこいの場所らしい。










さっきの俺の担当医がいつしか言ってた。
お前も彼女ができたらそこへ行くんだぞってね。
まるで強制と言わんばかりの口調だったな。










店の中に入ろうとしたとき、テラスに一人の女の子が目に付いた。










『嘘………杏里ちゃんだ…』










“杏里ちゃん”というのは俺が2年前、入学式前日に出会った女の子。
俗に言う、一目惚れしちゃった子。










そしてさらに恥ずかしいことに入学から卒業の間に自分から一言も声をかけられなかった。










あれ、いや卒業式のあと話せたか。
でも彼女は俺のことがわからなかったみたいだったから第一印象最悪にしちゃったな。












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