A Time Limit




杏里ちゃんに名前を聞かれたときは正直ちょっと悲しかったけど……優しくフォローしてくれた。
やっぱりこの子、いい子だなって思ったんだ。










最後の最後に、俺が一番行きたかった小樽港に行った。










「…………卒業前に千里くんに会いたかったな」








杏里ちゃんがあまりにも寂しそうに、切なそうに言うから俺は思わず口にしていた。










「俺は気付いてたよ。
卒業前からずっと……
ずっと杏里ちゃんのことを見てた」











やばっ……











俺ったら何言っちゃってるの?










いくらロマンチックだからってこの場面で告白とかないない!!










なんとか話をそらせた俺。
駅に向かってる途中、なんだか物寂しくて危なく杏里ちゃんの手を握ってしまうところだった。
別にムラムラなんてこれっぽっちもしてなかったけど、あのとき手を握ってしまっていたら俺、どうにかなっちゃっていたかもしれない。










まだ仲良くなってちょっとしか経ってないのにさ。
それこそ最低野郎だよな。












< 52 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop